胎盤は普通、子宮の上部に位置していますが、胎盤の位置が赤ちゃんが子宮から出るための通り道である子宮口をふさぐ場所にできていることを前置胎盤といいます。
また、胎盤が子宮口の縁までかかってはいないけれど、通常より低い(子宮口に近い)位置にあるものを低置胎盤といいます。
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■前置胎盤とは?
一般的に受精卵は子宮底部近くに着床することがほとんどです。子宮の一番奥の方ですね。着床した部分に胎盤が形成されます。
胎盤の位置が通常よりも低く、胎盤が子宮の入り口に被さり、ふたをしてしまっていることを前置胎盤といいます。
子宮の入り口(内子宮口)をふさいでいるので通常の出産ができなくなります。
胎児にとっては出口が胎盤でふさがれているわけですからね。基本的には帝王切開で胎児を出すことになりますが、いろいろな合併所が多いのも前置胎盤の特徴です。
胎盤がどのくらい内子宮口をふさいでいるかで3つに分けられます。
1.全前置胎盤(完全に内子宮口をふさいでいる、もっとも重症のタイプ)
2.部分(一部)前置胎盤(ほんの少しだけふさいでいるタイプ)
3.辺縁前置胎盤(内子宮口に胎盤の端っこがかかっているタイプ、軽症になります)
また、出産に際しては注意が必要な「低置胎盤」というのもあります。低置胎盤は通常の出産も可能ですが、出血が多くなる可能性が高くなります。
低置胎盤は胎盤の端っこが内子宮口から2センチ以内くらいの状態です。何事もなく出産となることも多いのですが、やはり注意は必要になります。
■前置胎盤の原因
前置胎盤になる原因、つまりなぜ受精卵が子宮の下部に着床してしまうのか、ということについては明らかになっていません。
しかし統計上では、
@高齢妊婦に頻度が高いこと
(一般に20歳から29歳の妊婦の前置胎盤は300例に1例にあるのに対し、35歳以上の妊婦では100例に1例、40歳以上では50例に1例)、
A帝王切開経験者、人口流産経験妊婦に頻度が高いこと
(帝王切開経験者の前置胎盤の頻度は3倍高く、帝王切開経験が多いほど高い)
B初産婦より経産婦
ということが明らかになっています。
ただし、前置胎盤・低置胎盤の診断は妊娠後期にならないと正確には分かりません。
早い段階で胎盤が下の方に位置していても子宮が大きくなるにつれて胎盤が上がっていく可能性が大きいからです。
妊娠30週以前に前置胎盤と診断された場合でも、実際に出産する時まで前置胎盤のままであるのは、5%に過ぎません。つまり、妊娠30週以前に前置胎盤と診断されても95%の人は治るということです。
■前置胎盤の症状
典型的な症状は、妊娠中に起こる痛みのない突発的な性器出血です。最初は少ない量の出血がありますが、これを「予告出血」や「警告出血」と呼んでいます。この後に大出血が発生する可能性があります!
前置胎盤は胎盤が子宮の下の方にあるので、胎児の頭が骨盤の中に入り込めなくて高い位置に胎児が存在するようになります。そのため、骨盤位などの胎位の異常も起きやすくなります。
日常生活では、安静が必要です。出血に気づいたら、すぐに病院へ行きましょう。少量でも出血が持続するようなときは、入院して安静を保つこともあります。
不安も大きいと思いますが、赤ちゃんの元気具合いも日々確認されるので、心配しないでください。
■前置胎盤と言われたら
前置胎盤のまず大きな問題は、赤ちゃんが子宮口から出て来られないことです。そのため、帝王切開で外に出してあげることになります。
ただ、妊娠中の子宮は子宮口に近い部分の筋肉が伸びて大きくなっていくため、胎盤の位置が少しずつ上のほうに移っていき、経腟分娩が可能になるともあります。
子宮が小さい妊娠初期のうちは、胎盤は下のほうにあり、週数を追うにつれて、だんだん上方に移動していきます。
早い時期に「胎盤が低いですね」と言われても、そのほとんどはお産までには正常な位置に移動するので、安心してください。
妊娠中に心配なのは、出血を起こしやすいことです。妊娠中期以降、生理的に子宮が収縮するようになると、それにともなって胎盤と子宮壁との間にズレが生じ、出血することがります。
時には大出血を起こすこともあるので、万が一の輸血に備えて自分の血液を貯血しておくことが多いです。
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