妊娠後期に高血圧、タンパク尿、むくみの3つ、またはいずれかの症状が現れることを以前は「妊娠中毒症」といいました。
しかし、日本産科婦人科学会の新しい定義では「妊娠中毒症」という名称は使われておらず、現在は「妊娠高血圧症候群」と呼ばれています。
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■妊娠高血圧症(旧妊娠中毒症)の診断基準
妊娠高血圧症候群の診断基準は、以前はむくみ(浮腫)、高血圧、尿タンパクの3つのうちの1つ、もしくは2つ以上の症状が見られ、それが妊娠前から持っている症状でない場合妊娠中毒症と言っていました。
しかし、現在はむくみは診断基準から外されています。
1.軽症の場合の診断基準
(1)血圧 ・・・収縮期血圧140mmHg以上〜160mmHg未満、または拡張期血圧90mmHg以上〜110mmHg未満。
(2)蛋白尿・・・300mg/日以上、2g/日未満
2.重症の場合の診断基準
(1)血圧 ・・・収縮期血圧160mmHg以上、または拡張期血圧 110mmHg以上
(2)蛋白尿・・・2g/日以上。随時尿を用いた試験紙法では複数回の新鮮尿検体で連続して3+以上(300mg/dl)の陽性。
■妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)になりやすい人
むくみ(浮腫)
※現在は定義から外されています。
高血圧
妊娠中は赤ちゃんに栄養を送っているため血圧が少し高めになります。妊娠中の高血圧とは最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上のことをいいます。(日本産婦人科学会)
尿タンパク
尿に健康ならほとんどでないタンパクが現れることを尿タンパクといいます。妊娠高血圧症候群のときには腎臓(尿をつくる臓器)の機能が低下してタンパクが漏れやすくなります。
検査は試験紙に尿をつけタンパクがどのくらい漏れているかを調べます。15mg/dl以下(−)、15〜30mg/dl(±)で陰性、30mg/dl以上(+)出ていると陽性となります。
■妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)の対策と予防法
妊娠高血圧症候群にかからないために普段の生活で注意すべきことがあります。
(1)休養と睡眠
疲労やストレスは大敵です。しっかり休養と睡眠を摂りましょう。疲労やストレスの明らかな原因がある場合は、それを断ち切る工夫をしましょう。
手先の細かい作業はストレスがかかるのでなるべくやめるようにしまっしょう。
(2)適度な運動
疲労をためない適度な運動は効果があります。軽い散歩や家事など日常生活で行えるものでも十分です。
疲労がいけないからといって、家でごろごろしていると、かえって疲れがたまることがあります。
(3)精神安定
妊娠中はリラックスを心がけましょう。イライラしやすいことや細かい作業などはこの時期は避けましょう。日常生活でもリラックスできるような読書や音楽、ビデオなどが効果があります。
■妊娠中の食事に気をつけよう
妊娠高血圧症候群の予防は、高血圧の予防とほぼ直結します。まずは塩分の摂り過ぎに注意しましょう。
成人女性の食塩摂取目標は一日に8g未満となっておりますので、妊娠中においてもこの制限目標を目指しましょう。また、既に高血圧である方は、6g未満に抑えることが良いでしょう。
但し、少なすぎると逆に別の問題が発生しますので、適量を心がけましょう。過度の飲酒や喫煙ももちろん大きな悪影響を及ぼします。
また、重要なのは十分に休養することです。体重増加を気にしたダイエットも逆効果でしかありません。十分な睡眠時間をとり、ストレスは溜めず、リラックスして過ごすことが妊婦さんにとてとても大切なことです。その為には、ご家族をはじめ周りの方の協力も必要です。
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